第39回 ハーディング30才
この秋にはマーラー・チェンバー・オーケストラと一緒に来日して演奏会を行なったし、レコード店に行くとかれが指揮した《コジ・ファン・トゥッテ》や《ドン・ジョヴァンニ》、《ねじの回転》などのDVDが、新譜として並んでいる。少し前はテレビで、去年のミラノ・スカラ座の《イドメネオ》をやっていた。
この《イドメネオ》は、ミラノ・スカラ座のシーズン開幕公演だった。歌劇場によって差はあるが、スカラ座では以前からシーズン開幕公演が非常に重要視される。それをこの歌劇場にデビューする指揮者が任されたのだから、立派なものである。
現時点の固定したポストはマーラー・チェンバー・オーケストラの音楽監督くらいで、あとはロンドン交響楽団の首席客演指揮者に、2007年からのスウェーデン放送交響楽団の音楽監督の座が決まっている程度だから、楽壇を驚倒させるようなビッグ・ポストをつかんでいるわけではない。でも、あと4、5年もすれば、大変なところにいるかもしれない。
指揮者というのは、意外に大器晩成とは限らない。出るべき人は運も味方につけて、早く世に出る。たとえばトスカニーニがスカラ座の音楽監督的な地位に就いたのは31才、フルトヴェングラーがベルリン・フィルの常任になったのは36才。ハーディングがかれらに比肩できる存在になるかどうかは、この先の数年間の未来が知っているはずだ。
山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
山崎浩太郎のはんぶるオンライン
「EURO LIVE SELECTION」~ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ/アスコーナ音楽週間2005~
12月23日(土)22:00~24:00
出演:山崎浩太郎/音源提供:BBC

