第36回 ショスタコーヴィチの時代は来るか?
そのとき、チラホラとささやかれていたのが、「次はショスタコーヴィチだ」という言葉だった。
マーラーの次はショスタコーヴィチ・ブームが来る、ということである。マーラーの後の時代で、演奏会の中心的レパートリーである交響曲を15曲も書いて、たっぷりと楽しめるようにした大作曲家といえば、ショスタコーヴィチしかいないからだ(数だけでいえばミャスコフスキーとかホヴァネスとかブライアンとかもいるが、彼らはマイナーだ)。
しかし1990年代、ショスタコーヴィチの実演やCDは数を増やしたが、ブームとまではならなかった。代わりに来たのは意外にも、ブルックナーの大ブームだった。
そして、いまはそのブルックナー・ブームも終わって、時代は次にどこへ向うか、気配しか見えないところである。マーラーもリバイバルしつつあるけれど、新鮮味において落ちることはいうまでもない。
ショスタコーヴィチ・ブームは来るか。
数年前、わずか2500円前後で買える交響曲全集が大ヒットして、その音楽への親しみの度合いは大きく増している。それが次の段階へつながるか、どうか。
ともかく、生誕100年の今年に、あらためて彼の音楽をまとめて聴いてみよう。
山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
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