第27回 「よき後継者」テミルカーノフ
オーマンディ、バルビローリ、ベイヌムの3人がほぼ同年代(前2人が1899年、ベイヌムが翌1900年)だったことである。この3人、それぞれフィラデルフィア、ニューヨーク、アムステルダムのオーケストラの指揮者を務めていたことがあるのだが、いずれも非常に個性の強い前任者(ストコフスキー、トスカニーニ、メンゲルベルク)の跡を襲うという、困難な役目を負わされていたのだ。
華やかなスター指揮者が嵐のように去って、いわばその「後始末」をするというのは、苦労ばかりで報いられることの少ない仕事である。その難事を引き受けた3人がそろって19世紀末年の生れということに、何か不思議な因縁を感じたのだった。
さて、最近は指揮者とオーケストラの関係が何十年も続く機会が減ったので、こうした苦労を背負う指揮者も少なくなった。その中でユーリ・テミルカーノフは、数少ない例外の一人である。彼が1988年に芸術監督に就任したレニングラード・フィルは、その直前までムラヴィンスキーが、半世紀の長きにわたって君臨していたオーケストラだったのだ。
引き継いでから数年後にソ連が解体、市名の変更に伴ってオーケストラもサンクトペテルブルク・フィルと名を変えた。周囲の状況も激変した。その中でテミルカーノフは、この名門に新しい血を流し込み、すでに15年以上も指揮を続けている。
今回のBBC Concertでは、1991年と2004年の二つのライヴを聴き比べて、両者の関係の「深化」のほどを確かめてみたい。
山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
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