第17回 301年目のビーバー
特に人気が高く、名のあるバロック・ヴァイオリニストたちがこぞって録音しつつあるのが、「ロザリオのソナタ」と通称される、聖母マリアの生涯を描いた連作ヴァイオリン・ソナタ集だ。中でも、無伴奏ヴァイオリンのために書かれた第16番のパッサカリアは、バッハのシャコンヌの先駆けとなる大曲として注目されている。
しかしそれだけでなく、教会音楽の分野でも再評価の気運が高まっているのだ。8月 21日のBBC Concertで放送する「キリストの復活のためのミサ」も、2000年に校訂譜が出版されて300年ぶりに甦った作品だが、輸入盤CDが2種たて続けに発売を予定されるなど、いま話題の作品である。
ここで指揮にあたるアンドルー・マンゼは、バロック・ヴァイオリンの名手として知られる。ビーバーもヴァイオリンを得意としたから、その作品の演奏家としてはうってつけの存在ともいえるだろう。当時の雰囲気を再現するべくビーバーの別の作品を挿入して、それに合わせて合唱団を出入りさせるなど、演出も凝っていて楽しい。4か月後にセッション録音された同作品のcd(ハルモニア・ムンディ)も間もなく発売される予定なので、聴き比べが楽しみである。
山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
山崎浩太郎のはんぶるオンライン

