第13回 スヴェトラーノフの力強い響きを
なかでも現在CD店の店頭で特に人気が高いのが、エフゲニー・スヴェトラーノフである。ロシア国立交響楽団(旧ソヴィエト国立交響楽団)との来日やnhk交響楽団への度重なる客演で、徐々に熱狂的なファンを増やしていった。2002年5月に73歳で急逝したときの彼らの落胆ぶりはひどいものだった。それから早くも3年が経とうとしているが、しかしその人気は一向に衰える気配さえなく、廃盤の復活や初出音源の登場など、死してなおその話題性の大きさは変わっていない。
彼の魅力は、「ロシアの指揮者」という言葉がもつイメージをそのまま具現化してくれたことにある、といってよいだろう。豪壮雄大、狩野派の絵を想わせる肉太な響き。自国ロシアの音楽だけでなく、フランスやドイツの作品でもその流儀を変えずに貫きとおす、強引ともいえる頑固さ。
ところでロンドンという町は、ロシアの音楽家への熱狂の度合において、東京に優るとも劣らぬところである。たとえばロジェストヴェンスキーの高い人気は、 30年以上にわたって続いている。スヴェトラーノフももちろん例外ではない。ソヴィエト国立交響楽団とのツアーやロンドン交響楽団などへの客演は、むしろ日本よりも早い時期から大喝采を浴びてきた。
今回の「BBC Concert」では、1968年から78年にかけてのスヴェトラーノフのロンドンでのライヴを、2週続きでお送りする。とにかくCDの多い人なので、一部すでにCD化されている曲もあるが、ベートーヴェンの《皇帝》協奏曲やブラームスの交響曲第3番など、なるべく録音の少ない曲目を選んでみた。ファンの方も、これから聴いてみようという方も、お楽しみに。
山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
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